精選版 日本国語大辞典 「梁塵秘抄」の意味・読み・例文・類語
りょうじんひしょう リャウヂンヒセウ【梁塵秘抄】
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広義の今様(いまよう)歌謡の集成。もと10巻、現存本は巻1/巻2の2巻のみ。書名は「梁塵殆(ほと)んど動く可(べ)し」(『吾妻鏡(あづまかがみ)』文治(ぶんじ)2年4月8日条)のごとく、歌声がきわめて微妙なることの形容に基づく。『本朝書籍(しょじゃく)目録』(鎌倉末期の成立)に「梁塵秘抄。廿巻(にじっかん)。後白河(ごしらかわ)院勅撰(ちょくせん)」とあるのは、本書が本来『梁塵秘抄口伝(くでん)集』10巻と一括されたものであることを示すものと考えられる。巻1~巻9は嘉応(かおう)元年(1169)までに成った。本書の成立もほぼ同時代か。現存本巻1は抄出本(しょうしゅつぼん)と考えられ、長歌(ながうた)10首、古柳(こやなぎ)1首、今様10首の計21首。長歌は短歌体の謡い物、古柳は囃子詞(はやしことば)を伴う不整形式のものが多く、今様は狭義の今様歌謡(七五調または八五調四句)。巻2は法文歌(ほうもんうた)220首、四句神歌(しくのかみうた)204首、二句神歌121首の545首をそれぞれ収める。ほかに『夫木(ふぼく)和歌抄』が2首引用している。法文歌は仏・法・僧・雑の順、四句神歌は神分(じんぶん)・仏歌・経歌・僧歌・霊験所歌・雑歌の順で構成され、二句神歌は短歌体のもので、神社歌61首を含む。半数の謡い物は仏法をたたえたもので、法文歌中の法華経二十八品歌百十数首の群作は本書の白眉(はくび)、四句神歌中の雑86首は、四句の定型から外れた、庶民の哀歓をあからさまに訴える謡い物が多く、二句神歌のなかには生気あふれる民謡風の短章が少なくない。また、本書の旋律面にかかわった白拍子(しらびょうし)・くぐつ・遊女を詠み込んだものもある。
本書は、久しく埋もれていたが、近代になってその転写本が発見された。ともに天理図書館蔵。『梁塵秘抄口伝集』(巻1の断簡と巻10のみ現存)からは、今様の唱法・伝承など、後白河法皇の今様に対する熱烈な傾倒が如実にうかがわれる。
[徳江元正]
『志田延義校注『梁塵秘抄』(『日本古典文学大系73』所収・1965・岩波書店)』▽『新間進一校注・訳『梁塵秘抄』(『日本古典文学全集25』所収・1976・小学館)』
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平安末期,後白河上皇が撰んだ今様(いまよう)の歌詞集。「本朝書籍目録」によれば,もと20巻で歌詞集と口伝集各10巻であったか。明治末期に巻1(断簡),巻2のみ発見された。書名は虞公(ぐこう)と韓娥(かんが)の美声が梁の上の塵を舞いあがらせた故事にもとづく。長歌10首,古柳(こやなぎ)1首,今様10首,法文歌(ほうもんか)220首,四句神歌(しくのかみうた)204首,二句神歌121首,計566首を収める。仏教歌謡を中心に,神祇信仰,院政期の都市生活,庶民の日常をもりこむ社会史の資料としても有効である。巻1の伝本は綾小路家旧蔵(天理図書館蔵)巻子本など,巻2は竹柏園旧蔵(天理図書館蔵)2冊本が唯一の伝本で,正徹(しょうてつ)の孫弟子正韻の奥書をもつ。「新日本古典文学大系」所収。
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…さらに《吉野吉水院楽書(よしのきつすいいんがくしよ)》には〈今様ノ殊ニハヤルコトハ後朱雀院ノ御トキヨリナリ〉とあり,藤原資房の《春記》にも1040年(長久1)〈今様歌之戯有リ〉と記録され,この時期に貴族社会で流行し始めたとみられる。後白河法皇にいたっては,臣下のみならず,各地の遊女,傀儡子(くぐつ)(傀儡)に就いてまで今様を習い集め,その集大成をめざして《梁塵秘抄(りようじんひしよう)》を編むとともに,後世への伝承を意識した《梁塵秘抄口伝集》を著した。 今様の定義は時代や場合によってかなりの異同があり,《梁塵秘抄口伝集》は広義,狭義2種類の使い方をしている。…
…しかし,一般に古代の民謡は,その曲節はむろんであるが,歌詞も残されているものが非常に少ない。
[中世]
中世の前期には,今様とか雑芸(ぞうげい)と呼ばれる歌謡があり,それは《梁塵秘抄(りようじんひしよう)》の中に見られるが,純粋の民謡と思われる田歌,棹歌(さおのうた)(舟歌),満固(まご)(馬子歌)などの歌詞はあげられていない。この期に盛んになった田楽には,民謡が多くとり入れられたことが想像される。…
※「梁塵秘抄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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