日本大百科全書(ニッポニカ) 「一夫一婦婚」の意味・わかりやすい解説
一夫一婦婚
いっぷいっぷこん
モノガミーmonogamyという。通常「単婚」とも称され、1人の夫と1人の妻が結び付く現代日本や欧米社会において典型的にみられる結婚形態である。もちろん世界各地には配偶者の数を1人に限らないような結婚形態「複婚」polygamy, plural marriageも広くみられる。私たちにはなじみ深いこの一夫一婦婚を人類社会全体のなかでどのように位置づけるかについては、古くからさまざまな議論があった。これを人類進化上最終的段階に属するものとみた『古代社会』におけるL・H・モルガンの議論もその一つである。もちろんこの議論は今日では受け入れられておらず、モルガンが単婚に先だつ形態として主張した乱婚や集団婚の存在も否定されている。
むしろ一夫一婦的な結合に基づいた「核家族」はほとんどあらゆる社会で社会の基本単位となっていることが確認されている。事実、複数の配偶者をもつことが社会的に認められ、あるいは理想とされているような社会にあっても、複婚を現実に行っている、あるいは行いうる人々の割合は小さいのが普通である。一方、配偶者を1人に限っているという意味で単婚を行っている社会としては、すでにあげた日本や欧米以外にエスキモーやイヌイット、「ピグミー」の総称で知られてきたアフリカの狩猟採集民の諸社会がある。
[濱本 満]