朝日日本歴史人物事典 「三木与吉郎(9代)」の解説
三木与吉郎(9代)
生年:文化5.7.1(1808.8.22)
幕末明治期の阿波藍商。阿波国(徳島県)板野郡中喜来浦の三木家は,7代吉太夫延歳が藍商として江戸,姫路,淡路に売場を開き,8代与吉郎政治がそれらを整理し,主力を江戸店の経営に注ぎ同家隆盛の基礎を築く。本項の与吉郎はその子であり,幼名萬次郎長じて吉次郎と改め,のち9代与吉郎光治となる。光治は同家の財を大成し,藍方御用利等にも登用されるとともに,幕末維新期の阿波藍業の構造変化に対応すべく一種の経営革新を行い,同家をして近代的商業資本たらしめるレールを敷くことに努めた。11代与吉郎順治は地主としても成長をとげ,明治23(1890)年貴族院議員となった。<参考文献>三木文庫編『天半藍色―三木300年の歩み―』,天野雅敏『阿波藍経済史研究―近代移行期の産業と経済発展―』
(天野雅敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報