下さんす(読み)クダサンス

デジタル大辞泉 「下さんす」の意味・読み・例文・類語

くださん・す【下さんす】

[動サ特活]《「くだされます」「くださります」の音変化。近世上方で、主として女性が用いた》
「くれる」の意の尊敬語。くださいます。
祝儀とて、との達から―・すこともござんす」〈難波鉦・二〉
補助動詞)動詞の連用形接続助詞「て」を添えた形に付いて、「…てくれる」の意の尊敬語。…てくださいます。
「かならず人に逆らはず、身をつつしんで―・せ」〈浄・薩摩歌
[補説]「くださる」に「んす」の付いた語からともいう。

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精選版 日本国語大辞典 「下さんす」の意味・読み・例文・類語

くださん・す【下】

  1. 〘 他動詞 サ行特活 〙 ( 「くださります」の変化した語。一説に「くださる」に助動詞「んす」の付いた語という ) 近世の遊里語。
  2. [ 一 ] 「くださいます」の意の女性語。
    1. [初出の実例]「すこしづつでもしうぎとて、との達からくださんすこともござんす」(出典:評判記・難波鉦(1680)二)
  3. [ 二 ] 補助動詞として用いる。助詞「て」を介して、用言の連用形(音便形)について、その動作の主が恩恵を与える意を、恩恵を受ける者の立場から敬っていう。「…てくださいます」の意の女性語。
    1. [初出の実例]「先おやま人形より、ざとう人形をさきへつくりてくださんせ」(出典:歌舞伎・金岡筆(1690)二)

下さんすの補助注記

( 1 )活用は文語サ行変格活用とほぼ同じだが、連体形は「くださんす」、命令形「くださんせ」。
( 2 )終止形は普通「くださんす」だが、「浄・心中重井筒‐中」の「ほっけになってくださんする」のように、「くださんする」の例も見られる。

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