下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症(読み)かすいたいせいごなどとろぴんぶんぴつこうしんしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症
かすいたいせいごなどとろぴんぶんぴつこうしんしょう

視床下部あるいは下垂体に生じたゴナドトロピン(Gn:gonadotropin)産生腫瘍(しゅよう)からゴナドトロピンが過剰に分泌されるためにおこる疾患。指定難病。ゴナドトロピンは、下垂体の前葉から、視床下部で産生されるゴナドトロピン放出ホルモンGnRH:Gn releasing hormone)の刺激を受けて分泌されるホルモンで、性腺(せいせん)(生殖腺)刺激ホルモンともいい、黄体形成ホルモン(LH:luteinizing hormone)と卵胞刺激ホルモン(FSHfollicle-stimulating hormone)の二つがある。精巣卵巣などの性腺に作用して、女性では卵胞の発育、排卵、黄体形成、女性ホルモンエストロンプロゲステロンなど)の産生を刺激し、男性では精巣の発育、精子形成、男性ホルモン(テストステロンなど)の産生を促進する。ゴナドトロピンが過剰に分泌されると、小児では性ホルモン分泌亢進症候、成人男性では女性化乳房、閉経前の成人女性では過少月経がみられる。また腫瘍による中枢神経障害症状もみられるようになる。治療法としては、原因となっている腫瘍を外科的に摘出したのち、下垂体機能を調べて、ホルモン分泌低下があれば、ホルモンの補充療法を行う。

 なお原発性の性腺機能低下症の場合は、(反応性の)ゴナドトロピン過剰分泌があるのに、性ホルモン分泌低下による症候がみられるので、下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症と鑑別できる。

[大久保昭行 2016年6月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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