ふ‐じゆう ‥ジイウ【不自由】
〘名〙 (形動)(「ぶじゆう」「ふじゅう」とも)
① 自由でないこと。思うままにならないこと。不便であること。また、そのさま。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)九「陽が下り陰が上れば起座が不自由也」
② (━する)
家計が苦しいこと。貧乏であること。また、そのため思うように
金銭が使えなくなることや、そのさま。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)二「盆正月の
着物もせず、年中始末に身をかため、慰には観世紙縷をして、
明暮不自由なる世や」
※人間嫌ひ(1949)〈
正宗白鳥〉「私は今日明日のホテルの宿泊料にも、当分の生活費にも不自由してゐないのであった」
③ (━する) 体の
一部分が正常に作用しないこと。
手足がきかないこと。また、そのため思うような動きができなくなることや、そのさま。
※評判記・
野郎虫(1660)山本万之助「くびもいくんで。
左右へ。かへり見る事不自由
(ふジユウ)さう也」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「不自由」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内の不自由の言及
【自由】より
…しかし中国においてもその後,唐詩や《臨済録》のような禅宗の僧の間では,後者の意味で自由の語は使われており,日本でも《正法眼蔵》《沙石集》等の法語・仏教説話に同じ用例を見いだすことができる。戦国時代に入るころ,《鶴岡放生会歌合》に〈自由ならずして自由を得たり〉とあるほか,〈不自由〉という語が頻出しはじめ,自由の語はプラス評価の意味で用いられるようになる。これは禅宗,キリスト教で,〈自由解脱(げだつ)〉のような積極的な意味で使われたことの影響もあろうが,江戸時代になると庶民の世界の中で,〈自由〉は便利と同じ意味にも用いられるようになった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」