…【小田 雄三】 江戸時代,手形は都市内あるいは隔地間の貨幣取引,商品の延売買(のべばいばい)における送金や商品代金の支払に用いられるようになった。それは手形発行の担い手である両替屋を中心とした商業信用が,大坂,江戸,京都の3都と城下町を結ぶ隔地間商業を中心とする幕藩制的商品流通の発展とともに進展したからで,手形を使った取引決済は商業技術として一般化した。この時代,手形は両替屋を中心とした信用機構の中で,貨幣を節約する代替物として機能し,商人相互の貸借関係を相殺する絶対的貨幣としての役割を果たすに至ったのである。…
…江戸幕府は1736年(元文1)の貨幣改鋳以来,長期間にわたりほとんど改鋳・増鋳を行わなかったが,文化・文政期(1804‐30)における経済発展や幕府財政の窮乏化に対応して大規模な改鋳が実施された。文政期の改鋳に際して,幕府は1824年大坂で両替屋十五軒組合を組織し,江戸においても両替屋に新二朱銀の引替方を編成し,新旧両貨の交換業務を円滑に行うことができる体制の強化につとめた。【作道 洋太郎】。…
…元来は客が差し出した貨幣と客が望む他種の貨幣とを交換することをいう。また有価証券や米,特産品など他の物と貨幣を交換することや,両替制度の整備に伴いそれにかかわる当事者,すなわち両替屋を指す場合もある。したがって,広義には両替屋の業務内容をも含む。…
※「両替屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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