一般に各種の外国通貨および旅行小切手(トラベラーズ・チェック)を手数料をとって自国通貨と交換することを業務とするものをいう。日本においては、外国通貨や旅行小切手をそのまま使用することは「外国為替(かわせ)及び外国貿易管理法」(昭和24年法律第228号)によって禁止されていたため、外貨などは円貨と交換のうえ使用しなければならない。そのため当時の大蔵大臣は、外国人旅行者の便宜のため、外国人と接触の多い旅行業者、ホテル、百貨店などに両替商を営む特別の認可を与えていた。また外国為替取扱いを公認されている普通銀行などの金融機関でも為替業務の一部として、両替業務を行うことができた。しかし1998年(平成10)4月施行の「外国為替及び外国貿易法」(改正外為(がいため)法)によって、両替業務は原則として自由化され、一般企業にも認められることとなった。
両替商はもともときわめて初期的な金融業務の一つで、ギリシア・ローマ時代にすでに出現して外国通貨の鑑定、自国通貨との交換などを行っており、内外交易の発展に伴いその役割も増大してきた。中世以降の両替商は、アムステルダム銀行などにみられるように近代銀行業の先駆的形態であるといえる。
[岡田和喜]
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…替銭・替米はことに(2)の場合のように利息付きである場合,原則として徳政令の対象とされた。【小田 雄三】 江戸時代になると,為替は両替商の媒介で行われ,その体系が整備されるとともに一般的商業技術として定着した。江戸時代は,大坂・江戸・京都の三都と城下町を結ぶ隔地間商業を中心に大量かつ恒常的な幕藩制的商品流通が展開した。…
…バビロニアにおいては,こうして信用業務に重点をおく形で銀行業務が発展したのだが,古代の他の地域では雑種通貨の流通が商業活動の障害となっていたために銀行業務は両替業務から生じた。ギリシア世界で経済的繁栄をきわめた都市国家アテナイには,トラペジテスとコリュビステスという2種類の銀行業者が活躍したが,後者は文字どおり両替商であった。また,ローマの銀行業者(アルゲンタリウス)はもともと両替商であった。…
…大名貸は掛屋によって主として〈江戸仕送り〉という形でなされた。その場合,大坂から江戸への下り商品の増大,大坂の江戸への貸越しの恒常化が江戸仕送りの為替送金を可能ならしめ,両替商が掛屋として最もよくこれを担当しえた。毎年その年の大坂登せ蔵物売払代で返済される当用貸としての江戸仕送りが繰り返された。…
…江戸で明暦年間(1655‐58)以前から続いた本両替商の名。とくに米沢,秋田,会津など東北諸藩への大名貸を行い,大坂の鴻池と並び称された。…
※「両替商」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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