中禅寺跡(読み)ちゆうぜんじあと

日本歴史地名大系 「中禅寺跡」の解説

中禅寺跡
ちゆうぜんじあと

[現在地名]筑波町筑波

筑波山中腹、筑波山つくばさん神社拝殿を含む一帯にあった真言宗の無本寺寺院。筑波山知足ちそく院と号し、本尊千手観音。坂東三十三観音霊場第二五番札所。南都の学僧徳一が延暦年間(七八二―八〇六)に筑波山寺を開いたのが当寺の起源で、筑波山寺は「元亨釈書」に「釈徳一、学相宗于修円、嘗依本宗作新疏、難破伝教大師、相徒称之、一闢常州筑波山寺、門葉益茂、而嫉沙門荘侈、麁食弊衣、恬然自怡、終慧日寺、全身不壊」とみえる。

筑波山は古来、山岳信仰の場で、役行者の修行地という伝承もあり、筑波山寺の開山に伴い男女二神は観音を本地仏とする筑波山両部権現として祀られた。筑波山寺はしだいに寺構を整え、中禅寺と称するようになったと思われ、中世には日光山・相模大山・伊豆走湯などとともに関東有数の修験道場であったという。筑波山禅定つくばさんぜんじようは山中にある修行場の総称であり、全六六ヵ所の岩屋からなり、「大山つみのイワヤ」から始まり「叶石」に至って修行は終わる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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