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主婦権 しゅふけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

主婦権
しゅふけん

一家の経営において,社会慣行上容認される家政管理を中心とする主婦権限家長権が強大であった時代の商家,上層農家においては,家事全般にわたる責任者としての座が家長の妻に与えられ,これとともに食生活,衣生活など家事の切り回しに関する権限が,主婦権として確立されていた。オカミ,オウエ,エヌシ,イエトジ,オカタなどの呼称があるのはその証左である。主婦権の譲渡はヘラワタシ,シャモジワタシなどと呼ばれ,通常,嫁が婚家の家風になじんだ時期をみて,姑から嫁に対してなされた (→杓子 ) 。隠居制による家族では,夫婦単位に生活が営まれるため主婦権も姑と嫁に分散される。家長権が弱まり,核家族化した近代家族においては,家父長制下にみられたような主婦権は存在しなくなってきている。

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デジタル大辞泉の解説

しゅふ‐けん【主婦権】

主婦がもつ家政上の権限。特に、古い家族制度で家長の妻がもっていた家事の管理・運営に関する権限。

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大辞林 第三版の解説

しゅふけん【主婦権】

伝統的に家長の妻に認められていた、生産活動の一部と消費活動の一切をとりしきる権利。

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世界大百科事典内の主婦権の言及

【米びつ(米櫃)】より

…米櫃の管理は一家の主婦の権限に属し,炊事は嫁にまかせても飯米は椀や枡で主婦が米櫃からはかって出す習俗が近年まで広く行われた。米櫃が主婦権の象徴となっている地域もあり,主婦権の譲渡を〈コカビツ(米櫃)を渡す〉とか〈鍵を渡す〉などと言う。【大島 暁雄】。…

【しゃくし(杓子)】より

…しゃくしの中央のくぼみは,粘りのある軟らかい飯を多く食べるようになるにつれて,小さく平らになっていったが,ここは神霊の宿る所として神聖視された。しゃくしは食物を分配する道具であり,家族の食生活をつかさどる主婦の重要な持ち物として主婦権の象徴ともされていた。とくに大晦日の食物分配は神聖視され,この夜にしゃくしをしゅうとめから嫁に渡して,主婦権譲渡の式を行う所が多かった。…

【しゅうと・しゅうとめ(舅・姑)】より

… 嫁が夫の家に入る嫁入婚においては,とくに嫁と夫の父母との関係がきわめて重要であり,また妻方への一時的訪婚をともなう婿入婚においては夫と妻の父母との関係も合わせて重要である。嫁入婚においてはとくに嫁と夫の父母,なかでも嫁と姑の関係は主婦権をもつ者とこれをやがて奪う者との関係であり,緊張関係が形成される。これはいわゆる嫁姑問題の背景をなすものではあるが,しかし構造的な関係であり当事者の意志とは一応関係がない。…

※「主婦権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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