デジタル大辞泉 「家風」の意味・読み・例文・類語
か‐ふう【家風】
[類語]
それぞれの家に世代を超えて受け継がれてきた独自な生活慣習や気風。同じ家の成員はその共有する家風を肯定してそれを誇りとし,婚入や養子入りした新来者に対し,家風への同化を期待した。家風を再組織する必要を感じた中興の祖と呼ばれる家長が家憲,家訓の類を成文化することもあった。しかし,そのような場合さえ,家風は決して固定したもの,また,固定しうるものでもなく,新夫婦が老夫婦と交替するとおのずから新たな家風への展開がみられるのが現実の歴史であった。それゆえ,家風の連続性とは,家長夫婦の世代ごとにみられた変遷を前提として,しかもなおその間に世代を超えて存在する変化のなかでの共通性を見いだして,他家に対して自家の家風の連続性を自覚するものにほかならない。家風をしいて固定しようとして老夫婦が若夫婦に自分たちの生活のしかたを無理じいした場合,つねに破綻が生じ,家の永続と繁栄という至高目的は失われるのが事実であった。
執筆者:中野 卓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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