久世郷(読み)くせごう

日本歴史地名大系 「久世郷」の解説

久世郷
くせごう

和名抄」高山寺本・刊本とも訓を欠く。「万葉集」巻九に「山代久世乃鷺坂」、巻一一に「開木代来背」などとみえ、「蜻蛉日記」には「くせのみやけ」が記される。いずれも当郷にかかわるものと考えられている。久世郡衙も当郷内に置かれていたろう。現城陽市大字寺田てらだにある正道しようどう遺跡が郡衙跡と推定されている。郷域は寺田に接して久世(現城陽市)地名が残り、当地一帯と考えられる。久世には西山にしやま古墳群があり、小字しばはらからは古墳時代の集落跡が発見されている。芝ヶ原には奈良時代の寺院跡もある。

なお平治元年(一一五九)九月二九日付太政官牒案(安楽寿院古文書)に「久世庄」、治承四年(一一八〇)五月一一日付皇嘉門院惣処分状(九条家文書)に「くせ」がみえ、下って建長二年(一二五〇)一一月日付の九条道家惣処分状(同文書)最勝金剛さいしようこんごう院領として「久世庄」が記される。

久世郷
くせごう

「和名抄」諸本に訓はない。旭川左岸の沖積地を中心とする、現真庭まにわ郡久世町久世一帯と考えられる。中世宮内省大炊寮久世保がある。「延喜式」民部省によれば美作国は宮内省大炊寮に年料舂米一千一〇〇石を輸納することになっているが、輸納体制が円滑にいかなくなった時期に何らかの事情により便補保として同保を設定し、租税を大炊寮に送るようにしたものであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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