デジタル大辞泉
「乙御前」の意味・読み・例文・類語
おと‐ごぜ【▽乙御▽前】
1 末娘。また、若く美しい娘。
「主ぞ恋しかりける、―ぞ恋しかりける」〈虎明狂・枕物狂〉
2 顔の醜い女。おたふく。おかめ。
「姫が被きたる小袖を取りて、―を見つけて」〈虎明狂・賽の目〉
3 狂言面の一。乙。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
おと‐ごぜ【乙御前】
〘名〙
※虎明本
狂言・枕物狂(室町末‐近世初)「
おとごぜぞ恋しかりける」
② 醜い女。おたふく。おかめ。
三平二満(さんぺいじまん)。
※虎明本狂言・賽の目(室町末‐近世初)「おとごぜをみ付て、きもをつぶして」
③ 狂言の女面の
一種。不器量な若い女の面で、「業平餠
(なりひらもち)」「
釣針」の
醜女、「
仏師」「
六地蔵」などの
仏体に用いられる。おかめ。おたふく。乙
(おと)。ふくれ。〔わらんべ草(1660)〕
おと‐ごぜん【乙御前】
※
浮世草子・好色盛衰記(1688)二「母の親のならひにて、たとへば乙御前
(ヲトゴセン)の面
(おもて)なる娘も、我子自慢して」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の乙御前の言及
【お亀】より
…お多福ともいう。同系統の面としては狂言面に乙御前(おとごぜ)があり,男に逃げられる醜女や姫鬼,福女などに用いられる。お多福のオタが乙の転訛ともいわれるように,お多福,お亀も同様の役柄の近世芸能に使用される。…
※「乙御前」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」