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狂言面(読み)きょうげんめん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

狂言面
きょうげんめん

狂言に用いる面。狂言は面を用いない役柄・曲柄が多いが,三番叟に黒式尉 (こくしきじょう) ,間狂言の末社の神に登髭 (のぼりひげ) をつけるほか,本狂言では,(1) 超人的な神仏,鬼,毘沙門,夷,大黒,福の神,武悪,神鳴など。 (2) 特殊な老人の,鼻引,祖父 (おおじ) 。尼,お寮,比丘尼。不器量な娘の乙 (おと) 。亡霊の塗師 (半六) ,通円。 (3) 動物では,犬,馬,牛,かにの精などに賢徳 (見徳) ,蚊の精,昆虫,植物,魚などに吹 (うそふき) 。狐の化けた白蔵主。猿,狐,狸など。間狂言には木葉天狗の鳶がある。また能と違い小道具としても用いる。

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百科事典マイペディアの解説

狂言面【きょうげんめん】

狂言用の木彫の仮面。狂言は素顔を原則とするが,老人,醜女,神仏,鬼,動植物の類は面をつける。乙(おと)(醜女),武悪(鬼),うそふき(蚊の精)など約30種。滑稽(こっけい)化の工作が顕著。能と異なり,狂言では面を仮装の道具としても用いる。
→関連項目仮面

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世界大百科事典 第2版の解説

きょうげんめん【狂言面】

狂言が能と密接に関係するのと同様に,狂言面も能面と関係している。製作者もほとんど共通しており,能面と同様に在来の仮面より写実的に作られている。また狂言面のなかには能面の形成過程のうちにその発生を求められるものがあり,地方の古社寺に能面と一緒に伝存している例をよくみる。それは発生の母胎と伝承の地盤を等しくしてきたことを意味するであろう。しかし狂言は,能が荘重優美な歌舞劇のどちらかというと悲劇的な趣であるのに対して,軽妙なせりふと簡明な所作による喜劇仕立てに特色があるように,その面も多く笑いをさそう表現をとる。

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大辞林 第三版の解説

きょうげんめん【狂言面】

狂言で用いる仮面。神・鬼・動物などの扮装に用いる。大黒・恵比寿えびす・武悪ぶあく・祖父おおじ・乙おと・賢徳・うそふき・狐きつねなどがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

狂言面
きょうげんめん

狂言で使用する面(おもて)。狂言は往々素面劇と規定されるが、特殊な役には仮面を用い、類型面は約20種ある。『三番叟(さんばそう)』の鈴ノ段には黒式(こくしき)の面をつけ、間(あい)狂言では末社(まっしゃ)の神(しん)に用いる登髭(のぼりひげ)を代表面とする。ともに笑みを含む老人の顔を神格化したものである。なお間狂言の木の葉天狗(てんぐ)には鳶(とび)を使う。本狂言で面を必要とするのは全曲の30%弱であり、これらの仮面は使用する役柄によって、(1)人間・亡霊、(2)神仏・鬼、(3)動植物・精霊に大別できる。
 (1)には、とくに高齢の老人がつける祖父(おおじ)、老尼用の尼(あま)・ふくれ、不器量な娘が用いる乙(おと)(乙御前(おとごぜ))などのほか、舞狂言に登場する亡霊には、古くは老人面である鼻引(はなひき)を流用したが、江戸前期からしだいに通円(つうえん)・祐善(ゆうぜん)・塗師(ぬし)など同名の役柄に専用する面が創案され、現在ではそれらを使用することが多い。なお、仏像に扮装(ふんそう)するとき、乙を小道具として使っているのは狂言らしい転用である。(2)には、夷(えびす)・大黒(だいこく)・毘沙門(びしゃもん)・福の神など庶民的な神の面と、鬼や閻魔(えんま)用の武悪(ぶあく)、雷用の神鳴(かみなり)がある。(3)としては、犬・馬・牛あるいは蟹(かに)の精などにつける賢徳(けんとく)(見徳)、昆虫・植物・魚類または蚊(か)の精などに用いるウソフキ(嘯吹)のほか、写実的な猿・狸(たぬき)などがあげられるが、ウソフキには案山子(かかし)の顔とするとぼけた用例もみいだせる。
 以上のうち乙・尼・武悪・猿などにはかなり作法の異なる面がある。能面や舞楽面を原型とするものが多いが、狂言面は人間味が濃く、またなごやかでユーモラスなのが共通点である。もっとも『釣狐(つりぎつね)』の前シテ用の狐の化けた僧を写した伯蔵主(はくぞうす)(白蔵主)および後シテ用の狐などはすごみを感じさせる面を良作とする。[小林 責]
『野村万蔵著『狂言面――附装束と小道具』(1956・わんや書店) ▽青木信二撮影『狂言面礼讃』(1981・芳賀書店)』

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世界大百科事典内の狂言面の言及

【室町時代美術】より

…周文の画風は,彼のあとを襲って将軍家の御用絵師となった小栗宗湛や,雪舟,阿弥派,岳翁蔵丘,祥啓らに幅広く受け継がれている。
[対明交易,能・狂言面]
 1368年(正平23∥応安1)の明の建国は,日本と大陸との交易に新しい局面をもたらした。1401年(応永8)義満は明との国交を開始し,以後1543年(天文12)までの間,遣明船の派遣は17度ほどに及び,多くの明の美術工芸品を新しい唐物として日本にもたらした。…

※「狂言面」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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