日本大百科全書(ニッポニカ) 「九十九商会」の意味・わかりやすい解説
九十九商会
つくもしょうかい
三菱(みつびし)創業期の名称。1870年(明治3)閏(うるう)10月、上京した岩崎弥太郎(やたろう)は土佐藩の財政難を救うため、私商社土佐開成商社を創始した。この商社は名前のみで、同月18日改めて九十九商会として、通商司から廻漕(かいそう)業の仮免許を受け、藩船夕顔、鶴、紅葉賀の三隻を用い、東京―大阪、神戸―高知間の海運を開始した。翌71年7月、廃藩置県で高知県が誕生すると、弥太郎は旧藩船夕顔、鶴二隻を4万両で払下げを受け、私企業とした。経営の第一線にいた川田小一郎(かわたこいちろう)、石川七財(しちざい)、中川亀之助(かめのすけ)に共通した「川」にちなんで、72年1月三川(みつかわ)商会に、翌年3月に三菱商会と改称した。
[加藤幸三郎]