乾元大宝(読み)けんげんだいほう

精選版 日本国語大辞典 「乾元大宝」の意味・読み・例文・類語

けんげん‐だいほう【乾元大宝】

  1. 〘 名詞 〙 平安中期、天徳二年(九五八)から鋳造発行の銅銭皇朝十二銭一つ以後国家による貨幣鋳造は近世初期まで中絶する。素材難から鉛の混入が多く、一見鉛銭と思われるほどの粗悪なものがある。乾元銭。
    1. 乾元大宝
      乾元大宝
    2. [初出の実例]「大内記俊生朝臣作之、銭文云、乾元大宝」(出典九暦‐九暦抄・天徳二年(958)三月二五日)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「乾元大宝」の解説

乾元大宝
けんげんたいほう

最後の皇朝十二銭。958年(天徳2)3月に発行された第12番目の銅銭。延喜通宝発行から51年後にあたる。改鋳の理由と新旧銭の交換比率は不明であるが,改鋳差益を目的とし新銭1=旧銭10の割合で併用したのであろう。成分は延喜通宝同様,鉛の含有量が平均50%ときわめて高く,ほとんど鉛銭といってもよい。963年(応和3)旧銭の使用を停止し新銭を用いることとしたが,劣悪な品質による信用低下により,銭の使用は忌避され,古代国家の銭貨鋳造は断絶した。

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改訂新版 世界大百科事典 「乾元大宝」の意味・わかりやすい解説

乾元大宝 (けんげんたいほう)

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旺文社日本史事典 三訂版 「乾元大宝」の解説

乾元大宝
けんげんたいほう

皇朝十二銭の最後の銅銭
958年鋳造。形も小さく質も粗悪。これ以後,近世初期までわが国の公的な貨幣鋳造は中絶した。

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世界大百科事典(旧版)内の乾元大宝の言及

【皇朝十二銭】より

…日本古代における政府発行の銅銭の総称。〈本朝十二銭〉ともいう。これ以外に銀銭として和同開珎大平元宝,金銭として開基勝宝が発行されている。金属貨幣は天武朝ごろには存在したらしいが,和同開珎以降,律令政府によって本格的に鋳造され流通せしめられた。律令政府は銅銭に地金の銅よりも高い法定価値を付与し,支払手段として用いることによって財政的利益を得ていた。しかし律令政府によって一方的に与えられ,なんらの社会的妥当性をもたない高い法定価値を維持することは困難で,私鋳銭の横行と法定価値の下落を招いた。…

※「乾元大宝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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