化学辞典 第2版 「二リン酸マグネシウム」の解説
二リン酸マグネシウム
ニリンサンマグネシウム
magnesium diphosphate
Mg2P2O7(222.55).ピロリン酸マグネシウムともいう.無水物のほかに三水和物もある.無水物はMgHPO4またはMgNH4PO4・6H2O(マグネシア混液とリン酸塩から生じた沈殿)を加熱すると得られる.水和物は二リン酸ナトリウムと塩化マグネシウムの水溶液内反応で得られる.無水物には,室温で安定なα形(斜方晶系)と,転移点68 ℃ 以上で安定なβ形(単斜晶系)がある.ただし,いずれも広い温度範囲で安定で,普通は両者が混在している.いずれも2個の四面体型のPO4が1個のO原子を共有してつながった形の陰イオン [O3P-O-PO3]4- を含む.たとえば,α形ではP-O約1.55 Å(末端),1.58 Å(架橋).β形でもP-O約1.55~1.65 Å.無水物は無色で,密度2.60 g cm-3.融点1383 ℃.水,アルカリ水溶液に不溶,希酸に可溶.マグネシア混液でリン酸を重量分析する場合のひょう量形はこの化合物である.三水和物は密度2.56 g cm-3.水に不溶.100 ℃ で水を失って無水物になる.[CAS 13446-24-7]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報