日本大百科全書(ニッポニカ) 「二次性糖尿病」の意味・わかりやすい解説
二次性糖尿病
にじせいとうにょうびょう
膵炎(すいえん)や膵臓癌(がん)、肝硬変、遺伝子異常といった疾患が原因となって二次的に引き起こされる糖尿病。特定の基礎疾患がもとでインスリン分泌に異常をきたして発症する糖尿病である。
原因となる代表的基礎疾患および薬剤などには、以下のようなものがある。(1)膵疾患:急性・慢性膵炎、膵臓癌、膵摘除など、(2)肝疾患:急性・慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害など、(3)内分泌疾患:クッシング症候群、甲状腺(こうじょうせん)機能亢進症(こうしんしょう)(バセドウ病)、先端巨大症(末端肥大症)、褐色細胞腫(しゅ)、アルドステロン症など、(4)薬剤:副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤、サイアザイド系利尿薬、β(ベータ)遮断薬、経口避妊薬など、(5)遺伝子異常:インスリン受容体異常症やインスリン自己免疫症候群など、遺伝性疾患、ほかに感染症などがある。薬剤性糖尿病のなかでも、とくにステロイド剤の長期使用が原因で高血糖を呈するものはステロイド糖尿病とよばれ、国際疾病分類第10版(ICD-10)にも多くの疾病コードが記載されている。二次性糖尿病の治療は基礎疾患の治療と、その状態に応じた糖尿病の治療が並行して行われる。
[編集部]