二見御厨(読み)ふたみのみくりや

改訂新版 世界大百科事典 「二見御厨」の意味・わかりやすい解説

二見御厨 (ふたみのみくりや)

伊勢国度会(わたらい)郡二見郷(現,三重県伊勢市)に成立した伊勢神宮(内・外宮)領の御厨二見古来塩を調製する神宮御塩殿(みしおでん)の所在地で,二見御厨も御塩殿を中心に,その惣検校(そうけんぎよう),御塩所司神人(じにん)等の居住地を含めて成立したものであろう。1192年(建久3)8月の〈伊勢大神宮神領注文〉(《神宮雑書》)および《神宮雑例集》(13世紀初頭)には見えず,《神鳳鈔》(南北朝期)には見えている。その関係文書は《御塩殿神庫文書》(神宮文庫蔵)中にあり,最も古いものは建仁1年(1201)11月6日付の大神宮司解で,御厨惣検校提訴祭主に取り次いだものである。以後,鎌倉末から南北朝にかけて資料が集中的に残存する。そのすべてが訴訟関係の文書で,御厨内沽却(こきやく)地をめぐる事案,神人の漁業特権をめぐる事案等,その内容は多岐にわたるが,総じて御厨が悪党の激しい侵犯をうけていることがわかる。なお同文書中最も新しいものは,文安1年(1444)10月29日付の外宮庁宣である。
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百科事典マイペディア 「二見御厨」の意味・わかりやすい解説

二見御厨【ふたみのみくりや】

伊勢国度会(わたらい)郡にあり,《和名類聚抄》記載の二見郷の地に成立した伊勢神宮の御厨。三重県度会郡二見町(現・伊勢市)の海岸部に比定される。二見郷に古来からある塩を調製する神宮御塩殿(みしおでん)を中心に成立したのであろう。1192年の〈伊勢大神宮神領注文〉にはみえず,南北朝期の《神鳳鈔》に二宮領として二見御厨の名がみえる。また1201年の大神宮司解には二見御厨惣検校(そうけんぎょう)の名がみえており,惣検校・検校・御塩所司神人(じにん)などが製塩・漁業に携わった。以降1444年に至る二見御厨に関わる文書のすべてが御厨内の売却地,神人の持つ漁業特権,悪党の押妨などをめぐる訴訟に関わる。御厨比定地域内には,御塩殿の鎮守神である御塩殿神社がある。

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