二軒茶屋跡(読み)にけんぢややあと

日本歴史地名大系 「二軒茶屋跡」の解説

二軒茶屋跡
にけんぢややあと

[現在地名]東成区東小橋一丁目・中道三丁目

黒門くろもん橋の西詰、玉造平野口たまつくりひらのくち(現東区)との境には、江戸時代、つる屋と庄屋(のち、ます屋)という二軒の茶屋が奈良街道(暗峠越)を挟んで向い合って建っており、二軒茶屋とよばれ、二軒茶屋は付近の通称ともなっていた。この地は郊外の景勝地としても知られたが、大坂と河内・大和方面を結ぶ奈良街道口にあたり、とくに大坂から伊勢参詣に向かう旅人やその見送人たちで賑ったという。二軒茶屋は上方落語「伊勢まいり」の一節にも登場するが、「摂津名所図会大成」は「当地ハ浪速より南都に趣く街道にして玉造の東出口なり、道の左右に茶店あるゆへ二軒茶屋と号す、されバ花咲そむる頃より伊勢参宮の鹿島立を見送る駅路の馬のはなむけや暫時わかれの酒宴に酔て出るあり入来るあり、(中略)奈良の晒売、河内通ひの木綿買など遊興渡世さまざまに雅俗貴賤の差別なく、四時往来絶ずして、何れも此に足を休る繁昌の茶店なり」と記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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