改訂新版 世界大百科事典 「二部伎」の意味・わかりやすい解説
二部伎 (にぶぎ)
èr bù jì
中国,唐朝の舞楽番組類の名称。立部伎と坐部伎がある。8世紀の玄宗期に,それ以前の舞楽14曲を雅楽の堂上,堂下の様式にまねて二分した。立部伎は太鼓類を主伴奏に総勢100人前後という大規模で堂下で華やかに着飾った舞人が舞った。《太平楽》《破陣楽》など8曲がある。坐部伎は弦楽器を主伴奏に10人程度でこまやかに舞楽を堂上で坐奏した。《長寿楽》《鳥歌万歳楽》など6曲がある。音楽は亀茲楽を主とした胡楽・俗楽のあわさったもので,服飾も西域色が目だったが,十部伎との相違は,雅楽器の鐘や磬(けい)などを入れ,舞人も伝統的な衣装をつけて雅楽に模し祭祀音楽にも用いたのと,全部一度には上演せず前もって数曲選んだ点である。玄宗以後,衰亡した。
執筆者:吉川 良和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報