二重価格表示(読み)にじゅうかかくひょうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「二重価格表示」の意味・わかりやすい解説

二重価格表示
にじゅうかかくひょうじ

安売りを行うスーパーマーケットなどが、「通常価格」のような比較対照価格と「値引き価格」とする実際の販売価格を、店頭で併記して販売すること。商品を割安にみせることで拡販をねらう方法であるが、実際に販売されたことのない価格を「通常価格」としたうえで線で消し、もとの価格のように見せかけるケースもあるとして、公正取引委員会が監視している。公正取引委員会は正当な比較対照価格を、「セール開始以前に衣料品など季節商品は1か月、食料品などは2か月続けて販売していた価格」としている。そうでない価格表示をした企業には、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号、「景品表示法」「景表法」と略す)違反で警告し、悪質な場合は排除命令を出す。不況過当競争は、二重価格表示を生む温床になりやすい。

[森本三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

流通用語辞典 「二重価格表示」の解説

二重価格表示

小売業者が商品の実売価格とともに、市価メーカー希望小売価格、自店の旧価格など2つの価格を表示して実売価格の値引幅を強調し、買い手の購買意欲を刺激しようとするもの。実際の市価やメーカーの希望小売価格などよりも高い価格を表示することは、「景品表示法」第4条2項により、不当な二重表示価格として禁止されている。すなわち、併記された比較対照価格が現実的なものでないと判断される場合には、不当な二重表示価格とみなされる。

出典 (株)ジェリコ・コンサルティング流通用語辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の二重価格表示の言及

【価格表示】より

…日本では,不当価格表示の規制は主として,〈不当景品類及び不当表示防止法〉(1962公布。略称景表法)にもとづき公正取引委員会によって行われているが,同委員会が定めた運用基準から不当価格表示の具体例をみると,〈A円の商品をB円で〉として,A円(比較対照価格)に架空の高い数字を示しB円(実売価格)を実際より安く見せかける方法や,比較対照価格とされるメーカーの希望小売価格そのものが意図的に高く決められているといった不当な二重価格表示,実際には売っていない安い商品を広告するおとり表示,事実に反して出血価格などの表現を用いる場合,などがある。このほか近年においては,消費者の価格比較を容易にするための単位価格表示が主として条例により促進されており,また,特定分野で価格表示を義務づける法律もつくられている(〈割賦販売法〉〈訪問販売等に関する法律〉など)。…

※「二重価格表示」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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