朝日日本歴史人物事典 「五条乙前」の解説
五条乙前
生年:生年不詳
平安末期の傀儡女。没年については諸説あるが,後白河上皇の出家(1169)以降であることは明白。『転法輪鈔』に依るなら安元3(1177)年か。正統派今様の名手(『今様の濫觴』)で後白河上皇の師。美濃青墓(岐阜県大垣市)の傀儡女目井の養女。12,3歳のころ監物清経に連れられ目井と上京。保元2(1157)年藤原信西の仲介により乙前の息木工允清仲の縁で後白河天皇と初めて対面,以後十余年(『転法輪鈔』によるなら20年)後白河上皇と親密に交流,乙前今様のすべてを伝授。84歳の春2月19日に没。『転法輪鈔』にはその一周忌の折の後白河法皇の追善表白文が収められている。<参考文献>小川寿子「今様,後白河院と渡来文化」(『日本歌謡研究 現在と展望』)
(小川寿子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報