19世紀後半のドイツで、ヘルバルト派に属する人々によって主張された教授過程論。ヘルバルトは、教授の一般的段階として「明瞭(めいりょう)」「連合」「系統」「方法」の4段階を示したが、ヘルバルト派のツィラーTuiskon Ziller(1817―82)は明瞭を二つに分け、「分析」「総合」「連合」「系統」「方法」の5段階とした。それを同派のラインWilhelm Rein(1847―1929)は、次の5段階に分けた。「予備」新しい観念の統覚に必要な既有の観念の整理、「提示」新教材の提示、「比較」新旧観念の比較、「総括」新旧観念を一つの体系に組織化、「応用」体系化された知識の応用。こうした5段階を踏む教授法は、心理学に基づいて案出されたもので、実際の教授に一つの規範を与えた。しかし、教科や教材の性質を無視して一律に適用されるものとしたので、形式主義の弊害を生むことになった。日本には1890年代(明治中期)に導入され、とくにラインの5段階が現場に広く普及し、教師中心の教授観を築いた。
[森分孝治]
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...