化学辞典 第2版 「亜テルル酸」の解説
亜テルル酸(塩)
アテルルサンエン
tellurous acid(tellurite)
酸:H2TeO3(177.62).塩化テルル(Ⅳ)の加水分解,亜テルル酸塩と硝酸との反応などで得られる.白色の結晶または固体.普通,いくぶん水和水を含むが,脱水するとTeO2になる.密度3.0 g cm-3.水溶液は弱酸性を示す.K1 2.7×10-3,K2 1.8×10-8(25 ℃).酸性水溶液は還元剤(二酸化硫黄,塩化スズ(Ⅱ)など)でテルルに還元され黒色を呈する.[CAS 10049-23-7]
塩:オルト塩MⅠ2TeO3と,その酸性塩MⅠHTeO3のほかに,ポリ酸塩,MⅠ2Te2O5,MⅠ2Te4O9,MⅠ2Te6O13などが知られている.一般に二酸化テルルと金属水酸化物(または炭酸塩)を加熱溶融すると得られる.K2TeO3・3H2Oは斜方晶系で,三方すい型のTeO3を含む.Te-O1.86 Å.∠O-Te-O97.7,102.4°.無水物は水に易溶.潮解性があり,還元剤でテルルに還元されるが,病原菌でも還元されてテルルを生じて黒色となるので,これを利用して,ワクチン,血漿などのなかの病原菌の検出に用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報