朝日日本歴史人物事典 「人康親王」の解説
人康親王
生年:天長8(831)
平安前期の皇族。仁明天皇の第4皇子で,母は藤原総継の娘沢子。承和15(848)年四品となり,上総(千葉県),常陸(茨城県)両国の太守や弾正台の長官を歴任したが,貞観1(859)年病を得て出家,法性と号した。出家後,京都の山科の地に山荘を営んだ。この「山科の宮」は滝を落としたり水を流したりと趣ぶかく造られていた(『伊勢物語』)。山科の「四宮」という地名は仁明天皇の第4皇子にちなむものという。現山科区四宮の十禅寺の片すみに墓,近くの四宮地蔵のわきに供養塔がある。
(朧谷寿)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報