ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アナスタシウス」の意味・わかりやすい解説
アナスタシウス
Anastasius
[没]878頃
教皇ベネディクツス3世(在位 855~858)の対立教皇(在位 855)。司書アナスタシウス Anastasius Bibliothecariusとも呼ばれる。ギリシア語学者として注目され,848年頃,ローマの聖マルケルス教会の司祭枢機卿(→カーディナル)となった。一時,対立教皇となったが,教皇ベネディクツス3世と和解し,のちに教皇庁図書館の司書となった。三位一体における聖霊の問題や東西教会の教義の違いをめぐり,コンスタンチノープル総大主教のフォチオスと対立した。また,ハドリアヌス2世(在位 867~872)やヨハネス8世(在位 872~882)など,9世紀の教皇の政策に強い影響を与えた助言者であった。おもな著作にディオニュシオス偽書の著者に関する注釈書があり,"Liber pontificalis"の,ニコラウス1世(在位 858~867)とハドリアヌス2世の解説文も,アナスタシウスの手によるものとされる。
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