人法(読み)ニンボウ

デジタル大辞泉 「人法」の意味・読み・例文・類語

にん‐ぼう〔‐ボフ〕【人法】

仏語
人と教え。
人と法。有情うじょうとしての人と、その構成要素である五蘊ごうんのこと。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「人法」の意味・読み・例文・類語

にん‐ぼう‥ボフ【人法】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。人と教え。または教えを説く人ないし受ける人と、説かれた教え、ないし学ばれる教え。〔法華義疏(7C前)〕
  3. 仏語。人と法。一切有情を人といい、一切非情を法という。五蘊(ごうん)和合からなるものは人、五蘊は法。
    1. [初出の実例]「実相を証すれば人法もなし」(出典:塩山仮名法語(1387頃)一)
  4. 衆生のすすむべき道。
    1. [初出の実例]「天上人中普ねくも、人法守る誓ひあり」(出典:四座講法則(鎌倉末)羅漢和讚)

じん‐ぽう【人法】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( :ポフ ) 人と仏法。にんぽう。
  3. ( :パフ ) 人間の法。人の守るべき道。
    1. [初出の実例]「ええ、人法(ジンホウ)に背きし世忰が噂、聞く耳もけがるる」(出典浄瑠璃・浦島年代記(1722)三)
  4. ( :パフ ) 人に関する法。一四~一五世紀のイタリアで、人に関する法規は、人がどこに行ってもその人に追随して適用されるべきものとされ、属地的効力だけをもつ物法に対するものとして用いられた。→属人法

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の人法の言及

【条例理論】より

…ある都市の条例はその都市の域外にも及ぶか,みずからの域内にある他の都市の臣民をも拘束するか,こうした形で議論が始まり,条例の性質や目的を基準に,それが人・物そのいずれに関するかによって,あるいはみずからの臣民である限り域外にあっても適用されるとか(属人的域外適用),みずからの領域内にのみ適用範囲が限定されるが他の都市の臣民にも及ぶ(属地的域内適用)とか論じられた(バルトルスなど)。のちこれは人法statuta personaliaおよび物法statuta realiaのカテゴリーでとらえられ,双方の性質をもつかいずれとも決めがたいものは混合法statuta mixtaとされて適用関係では物法と同様に扱われるようになり(ダルジャントレ(1519‐90)),ここに法を3種類に分ける理論が完成した。その後,この理論は都市法のみならず広く地方慣習法やより普遍的な法律についても一般化された。…

【属人法主義】より

…フランク王国の時代においては各人はその属する部族の法に従って生活しており,相異なる部族の者との間の法的紛争においては各自の属する部族の法を明らかにする〈法の宣言〉により問題が解決されていた。これがいわゆる部族法時代であり,人の属する法に従っていたので属人法主義の時代とよばれる。その後は部族の法ではなくいずれかの領域の法が中心となり,この意味での属人法主義は消滅したが,人種・宗教等により法を異にする人的集団の間の法抵触については人際法の形でその影響が残存している。…

※「人法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android