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属人法 ぞくじんほうpersonal law

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

属人法
ぞくじんほう
personal law

人の能力や親族関係について適用される法律。一般に大陸法系の国際私法では,本国法が用いられ,英米法系の国際私法では住所地法が用いられる。 19世紀後半に F.K.vonサビニーによって確立された現在の国際私法では,連結素を媒介として準拠法を定めるが,それ以前の国際私法では,人に関する法律と物に関する法律とに分け,前者の法律は属人的に,後者の法律は属地的に適用するという発想であった。属人法という用語は,そのような時代の発想の名残である。

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デジタル大辞泉の解説

ぞくじん‐ほう〔‐ハフ〕【属人法】

国際私法上、人の居る場所にかかわらず、人を基準として適用される法律。

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大辞林 第三版の解説

ぞくじんほう【属人法】

国際私法上、居場所にかかわらず、人を基準にして適用される法。属人法の決定基準として、国籍・住所などがある。 ↔ 属地法従属法

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

属人法
ぞくじんほう
personal lawpersonal statute

人の能力や家族関係について適用される法律をいう。このような問題については、どこで問題となろうとも、つねに、その人と密接な関係をもつ法律が適用されるべきであるとの考え方に基づき、人との一定の結び付きのある法律を属人法とするのである。属人法としては、一般に、大陸法系の国際私法では本国法が用いられ、英米法系の国際私法では住所地(domicile)法が用いられる。
 13世紀ごろ、ルネサンス期のローマ法研究(後期注解学派)のなかから生まれた法規分類説(法則区別説)によれば、法規を物に関する法規(「物法」)と人に関する法規(「人法」)とに分け、「物法」は属地的に適用し、「人法」は属人的に適用するとされた。これは自国の法律の地域的な適用範囲を考えるという発想に基づくものであり、たとえば「物法」に属する物権に関する規定は、事案に関係する当事者のいかんにかかわらず、自国領域内での物権問題である限り、自国法をつねにそれに適用し(属地的適用)、他方、たとえば「人法」に属する人の能力や身分に関する規定は、他国の領域内にいても、自国民に対してはつねに自国法を適用するとされた(属人的適用)。今日でも「属人法」という用語が用いられることがあるが、その源はこの法規分類説にある。
 現在の国際私法の仕組みにおいては連結点(特定の地の法律を導き出すことのできる場所的要素。連結素ともいう)を介して準拠法(適用される法律)が定められるので、属人法という用語は適当ではなく、人の能力や家族関係については、連結点として、大陸法系では本国(重国籍者や無国籍者の場合には一つの本国を特定する)が、英米法系では住所が用いられるという説明がなされることになる。そして、ハーグ国際私法会議では、この大陸法系の国際私法と英米法系の国際私法の対立を止揚して解消するため、常居所habitual residence(人が現実に日常的に居住し生活している場所)という新しい概念を連結点として採用した。日本も1989年(平成1)の「法例」改正により、婚姻や親子間の法律関係についてこの常居所という概念を大幅に取り入れた。そして、「法例」にかわり2006年(平成18)に制定された「法の適用に関する通則法」もこれを踏襲している。[道垣内正人]

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世界大百科事典内の属人法の言及

【属人法主義】より

…フランク王国の時代においては各人はその属する部族の法に従って生活しており,相異なる部族の者との間の法的紛争においては各自の属する部族の法を明らかにする〈法の宣言〉により問題が解決されていた。これがいわゆる部族法時代であり,人の属する法に従っていたので属人法主義の時代とよばれる。その後は部族の法ではなくいずれかの領域の法が中心となり,この意味での属人法主義は消滅したが,人種・宗教等により法を異にする人的集団の間の法抵触については人際法の形でその影響が残存している。…

※「属人法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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