有情(読み)ウジョウ

デジタル大辞泉 「有情」の意味・読み・例文・類語

う‐じょう〔‐ジヤウ〕【有情】

《〈梵〉sattvaの訳》仏語感情意識など、心の動きを有するもの。人間鳥獣など。衆生。→非情無情
[類語]動物生き物生類しょうるい衆生しゅじょう生きとし生けるもの生物・有情物・有機体動植物微生物

ゆう‐じょう〔イウジヤウ〕【有情】

[名・形動]
心のあること。人間としての感情があること。また、そのさま。
「―なるが故に相聚合し、有欲なるが故に相協力す」〈逍遥当世書生気質
感情や感覚をもつこと。

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精選版 日本国語大辞典 「有情」の意味・読み・例文・類語

う‐じょう‥ジャウ【有情】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] sattva 生存するものの意 ) 仏語。
  2. 感情など心の働きを持っているいっさいのもの。山川草木などに対して、人間、鳥獣などの生き物。⇔非情無情
    1. [初出の実例]「正覚(しゃうがく)を成せども有情を饒益(ねうやく)せむが故に因位に居り」(出典:日本霊異記(810‐824)下)
    2. 「すべて、一切の有情を見て、慈悲の心なからんは、人倫にあらず」(出典:徒然草(1331頃)一二八)
    3. [その他の文献]〔仁王護国経‐下〕
  3. 世に生を受けている人。
    1. [初出の実例]「有情無量無辺所有功徳、比於如来一毛功徳百千万分中其一」(出典:往生要集(984‐985)大文五)
  4. 風情があること。もののあわれが感じられること。
    1. [初出の実例]「窓外芭蕉樹、無情更有情」(出典:碧雲稿(1419頃)春雨)

有情の補助注記

梵語 sattva は「衆生」とも訳すが、一説に「衆生」は広く有情、非情に通じるとする。


ゆう‐じょうイウジャウ【有情】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 心あること。情趣のあること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「有情(イウジャウ)なるが故に相聚合し、有欲なるが故に相協力す」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉九)
    2. [その他の文献]〔杜甫‐哀江頭詩〕
  3. 感覚や感情を具えていること。また、そのさま。〔哲学字彙(1881)〕
  4. うじょう(有情)

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普及版 字通 「有情」の読み・字形・画数・意味

【有情】ゆうじよう(いうじやう)・うじよう(じやう)

感情・情趣がある。喜怒哀楽がある。唐・李賀〔金銅仙人、漢を辞する歌〕詩 (すいらん)、客をる、咸陽 天(も)しらば、天も亦た老いん

字通「有」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有情」の意味・わかりやすい解説

有情
うじょう
sattva

あらゆる生きものをいう。無感覚な草木,山河を非情,無情というのに対して,有情は,感情などの心の働きをもつものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「有情」の意味・わかりやすい解説

有情
うじょう

衆生

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世界大百科事典(旧版)内の有情の言及

【衆生】より

…とくにサットバの訳語として用いられることが多い。サットバとは存在するもの,また心識をもつものの意で,有情(うじよう),含識(がんじき)などとも訳される。古くは衆生と漢訳し,唐代の玄奘以後のいわゆる新訳では有情と訳されている。…

※「有情」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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