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(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)
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中南米各国からの移民やその子孫であるスペイン語系アメリカ人。ヒスパニック系の人口は、1980年の国勢調査では約1460万人であったが、1990年調査では約2235万人と53%も増加。2000年の国勢調査では約3530万人(58%増)で、全米人口の12.5%を占め、マイノリティー集団では、3470万人(全米人口の12.3%)であった黒人人口を初めて上回った。英語を覚えてアメリカ社会に同化するより、自分たちのスペイン語社会をつくる傾向が強い面が指摘される。アメリカ国内ではヒスパニックを標的とした移民規制に関心が高まり、とくにメキシコ国境からの大量のヒスパニック系不法移民に頭を悩ますカリフォルニア州では、1994年に州民投票により不法移民摘発を目的とする不法移民締め出し法を制定した。これは、不法移民やその子弟が公共機関のサービスを受けにきた場合、移民・帰化局への通報を義務づけたもの。しかし1995年、同州のロサンゼルス連邦地裁は、不法移民締め出し法の大部分の規定を違憲とみなす判決を下した。
[編集部]
アメリカ合衆国でスペイン語を話す人口の総称で,政府筋がセンサスなどで使用しはじめた。差別的ニュアンスがあるとして,1990年代に入ってラティノLatinoも多く使用される。ヒスパニック人口は2235万余(1990)で,全米人口の9%を占めている。人口構成は多様で,メキシコ系1350万(全米人口の5%)が最も多い。スペイン語を話しカトリックで,ラテン的文化をもつことが共通点。移民数の多さと出生率の高さのため,21世紀前半にアフリカ系アメリカ人(黒人)の数を上まわると予想されている。
執筆者:編集部
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アメリカの少数民族としては最大の集団で,スペイン語を話す人々。1960年代から急速に増加し,2000年国勢調査(ラティノという名称も初めて使用)によると,アメリカの総人口2億8000万人の12.5%(3530万人)を占め,黒人(アフリカ系)の12.1%を抜いた。ヒスパニックの内訳は,メキシコ系58.5%,プエルトリコ系9.6%,キューバ系3.5%,その他となっている。人種的には白人,黒人ほかさまざまである。働く意欲は強いが,概して学歴が低く英語が不自由な人が多いため,所得面で不利である。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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