人麻呂影供(読み)ひとまろえいぐ

百科事典マイペディア 「人麻呂影供」の意味・わかりやすい解説

人麻呂影供【ひとまろえいぐ】

1118年,藤原顕季によって創始された,歌聖柿本人麻呂を祭る儀式。歌人たちは人麻呂を神格化し,肖像を掲げ和歌を献じることで和歌の道の跡を踏もうとした。《古今著聞集》などによれば,人麻呂影供は六条家においては歌道継承のシンボルとなっていた。鎌倉時代以降はあわせて歌合なども行われ,歌壇行事として近世に至るまで続けられた。また,人麻呂の画像は歌仙絵原型ともなり,絵画史にも影響を残した。
→関連項目歌林苑

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世界大百科事典(旧版)内の人麻呂影供の言及

【歌仙絵】より

…平安時代の歌合の盛行は歌論の発達を促し,古今の優れた歌人に対する尊崇の念を強めた。すでに11世紀には歌仙として最も尊崇されていた柿本人麻呂の像を描かせることが始まっていたようで,12,13世紀には人麻呂の画像をまつって歌道精進を祈念する人麻呂影供(えいぐ)の歌会が盛んに行われている。古聖人の像を描くことは,古くは奈良時代に始まる釈奠(せきてん)での孔子像の例があり,その他紫宸殿の賢聖障子や888年(仁和4)に巨勢金岡が描いた詩聖の像などが知られる。…

【藤原顕季】より

…子孫に顕輔,清輔,顕昭ら歌人が輩出し,歌学の六条家の祖とされる。柿本人麻呂を追慕して,1118年(元永1)人麻呂影供(えいぐ)を催している。出家した年に没した。…

※「人麻呂影供」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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