『仁義なき戦い』シリーズ(読み)じんぎなきたたかいしりーず

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

『仁義なき戦い』シリーズ
じんぎなきたたかいしりーず

日本映画。1973(昭和48)~1974年、深作欣二(ふかさくきんじ)監督。原作は飯干晃一(いいぼしこういち)(1927―1996)。広島の暴力団抗争を生々しい暴力描写によって描く。第1作は第二次世界大戦後まもない広島で誕生したやくざ組織の台頭と内部抗争を描く。第2作では殺し屋として雇われたやくざの末路が、第3作、第4作では大組織の代理戦争としての広島の暴力団抗争が描かれる。そして転換を迫られる組織の世代交代を描く第5作によって完結。主人公は存在するが、権謀術数を巡らせるやくざたちの集団劇という面が強調されている。監督の深作にとって「戦後」と「暴力」を描くことは重要な関心事であったが、そのひとつの到達点といえる。本作の登場により、東映は約10年続いた任侠(にんきょう)映画路線を転換させ、実録路線とよばれるものに移行していく。

[石塚洋史]

『『世界の映画作家22 深作欣二 熊井啓編』(1974・キネマ旬報社)』『『世界の映画作家31 日本映画史』(1976・キネマ旬報社)』『『映画史上ベスト200シリーズ 日本映画200』(1982・キネマ旬報社)』『深作欣二・山根貞男著『映画監督 深作欣二』(2003・ワイズ出版)』『佐藤忠男著『日本映画史3、4』増補版(2006・岩波書店)』『猪俣勝人・田山力哉著『日本映画作家全史 下』(社会思想社・現代教養文庫)』『文芸春秋編『日本映画ベスト150――大アンケートによる』(文春文庫ビジュアル版)』

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