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企業防衛 きぎょうぼうえい

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知恵蔵2015の解説

企業防衛

大買収時代あるいは本格的な企業の合併・買収(M&A:Mergers & Acquisitions)時代の到来が告げられる中、海外投資ファンドを中心とした買収騒動をきっかけに企業の買収防衛策に対する関心が急速に高まった。2005年4月中旬に朝日新聞社が大手企業50社を対象に行った敵対的買収についてのアンケート調査によれば、回答42社のうち71%が「脅威を感じる」と答えており、防衛策を検討していると答えた企業は76%に上っている。この時点でポイズンピル(毒薬条項)の導入を検討中と答えた企業が5社あった。また、同年6月中旬にまとめた調査結果では上場95社中57社が敵対的買収への対応策を検討中であり、38社が05年度中の導入に動いている。 こうした動きの中で注目されるのは、1980年代後半すでに敵対的買収が多発していたことによる米国でのポイズンピルの普及に比べ、日本企業の買収防衛策への対応はかなり立ち遅れており、例外的なケースを除き「ポイズンピルの導入」は今なお検討段階にあり、多くは「増配」(21社)、「授権資本枠の拡大」(13社)、「取締役数の上限引き下げ」(19社)にとどまっている。こうした中で、05年6月ブロードバンド通信大手のイー・アクセス株主総会で「ポイズンピル」が日本で初めて承認された。これは新株予約権信託銀行に預ける「信託型のポイズンピル」と呼ばれるもので、今後普及に弾みがつくことも予想される。 買収先企業の株式を、高額の買い取り価格による公開買い付け(TOB:Takeover Bid Tender Offer)を通じ発行済株式総数の過半数議決権を有する株式を取得することで経営権を獲得するのが敵対的買収、すなわち敵対的TOB(敵対的買い付け)である。この敵対的買収に対する有力な対応策が「ポイズンピルの導入」であり、敵対的買収者に対抗するため、株主が安価で普通株式または優先株式を取得できるようにすることで、(1)持株割合の希釈化、(2)株式価値の減少、(3)買収コストの増大効果をもたらす(藤原総一郎編著『M&A 活用と防衛戦略』東洋経済新報社、2005年)。このような効果を持つポイズンピルの導入については、年金基金を始めとする機関投資家からの根強い反対がある。最大の懸念は「株主価値」の減少であり、顧客である年金受給者に対する責任を果たせなくなる、という危惧(きぐ)である。

(高橋宏幸 中央大学教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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