日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊方(町)」の意味・わかりやすい解説
伊方(町)
いかた
愛媛県西部、西宇和郡にある町。佐田(さだ)岬半島にある。北側は伊予灘(なだ)に、南側は宇和海に面している。1955年(昭和30)伊方、町見(まちみ)の2村が合併し町制施行。2005年(平成17)瀬戸、三崎(みさき)の2町を合併、新しい伊方町となった。国道197号(佐田岬メロディーライン)が通じ、三崎から大分県の佐賀関へフェリーが就航する。中心の湊浦(みなとうら)は伊方浦が古名で、町名はこれによる。伊予灘側の伊方越(いかたごし)には平家の落人(おちゅうど)伝説があり、江戸時代から杜氏(とうじ)の出稼ぎが有名である。瀬戸地区の中心集落三机は宇和島藩時代からイワシ漁業で栄え、参勤交代路の港、海産物取引の中心であった。漁業とミカン栽培が主で、大久(おおく)浜一帯では三崎牛の飼育が行われている。四国電力の原子力発電所がある。岬の先端部の佐田岬灯台周辺は瀬戸内海国立公園域で、また番匠鼻、権現(ごんげん)山、伽藍(がらん)山などは佐田岬半島宇和海県立自然公園に含まれる。三崎の亜熱帯性植物アコウの巨木は国指定天然記念物。面積93.98平方キロメートル、人口8397(2020)。
[横山昭市]
『『伊方町誌』(1968・伊方町)』▽『『伊方町誌 増補改訂版』(1987・伊方町)』