伊礼原遺跡(読み)いれいばるいせき

国指定史跡ガイド 「伊礼原遺跡」の解説

いれいばるいせき【伊礼原遺跡】


沖縄県中頭(なかがみ)郡北谷(ちゃたん)町桑江にある集落跡。県南西部、東シナ海に面し、遺跡東側の丘陵水源とするウーチヌカー(湧水)によって形成された標高2mの低湿地と、その南に広がる標高4mの砂丘地域からなる。米軍基地の返還にともなう区画整理事業に先立つ確認調査で発見され、1997年(平成9)からの発掘調査の結果、縄文時代前期から晩期にかけての集落遺跡であることがわかった。低湿地からは、最下層(前期)で奄美・沖縄地域最古の縄文土器とされる南島爪形文土器が出土し、その上の層(前期)でオキナワウラジロガシを貯蔵した遺構が確認され、さらに上の中期から晩期に及ぶ層で、長さ65cm、高さと幅が25cmの内部が刳()り抜かれた木製容器、木製の櫛、イノシシの牙やサメの歯の垂飾具などが出土した。砂丘地域からは、中期の炉3基と多数の柱穴、後期の1辺3mの石敷き住居跡や集石遺構、晩期の多量の土器などを含む竪穴(たてあな)住居跡が確認された。また、晩期に属する新潟県糸魚川産のヒスイ製の玉や九州産の黒曜石製の剝片や九州から搬入された土器も出土しており、縄文時代における奄美・沖縄地域と日本列島との交流を示している。2010年(平成22)に国の史跡に指定された。那覇空港から車で約38分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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