伊香賀郷(読み)いかがごう

日本歴史地名大系 「伊香賀郷」の解説

伊香賀郷
いかがごう

市域南部、淀川西岸の伊加賀いかが一帯に位置する中世の郷。古代茨田まんだ伊香いかが(和名抄)に由来する。

正中二年(一三二五)七月一一日の沙弥宗春譲状(土屋文書、以下同文書による)に「河内国伊香賀郷地頭職」とみえる。南北朝時代の文書に、河内国茨田郡内伊香郷の「国衙年貢」のことがみえるから(観応元年九月二八日河内国宣)、中世には河内国の国衙領であったと考えられるが、後鳥羽院政期には、承久の乱の京方張本人であった院の近臣能登守藤原秀康が知行していた(欠年三月二七日土屋宗直申状案)。承久の乱後、院方所領の一所として鎌倉幕府に没収され、承久三年(一二二一)九月六日に、相模国大住おおすみ土屋つちや(現神奈川県平塚市)本拠とする鎌倉御家人土屋氏が当郷の地頭職を拝領した(応永五年四月日土屋宗能目安案)。正中二年、伊香賀郷地頭で土屋一族の惣領であった沙弥宗春は、同郷地頭職および土屋一族の惣領職を、次子の土屋孫次郎宗直に譲与したが(沙弥宗春譲状)、土屋宗直が伝領した地頭職は「新補率法」の地頭と違って、「本司能登守秀康知行例」により、同郷の下地進上権を有する所職であった(前掲土屋宗直申状案)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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