朝日日本歴史人物事典 「伴伝兵衛」の解説
伴伝兵衛(2代)
江戸前期の近江商人。文禄4(1595)年近江の八幡城(近江八幡市)廃城後,関東への行商に活路を求めた初代伝兵衛は寛永年間(1624~44),日本橋通一丁目に開店し,近江屋三右衛門の屋号で蚊帳,畳表,麻布類を取り扱った。明暦年間(1655~58)に活躍した2代目伝兵衛は,業務を拡張し,諸侯の屋敷も得意先とした。囲碁を趣味に持った2代目は,ある年の大晦日に商用で出かけた筑後国(福岡県)柳川の大名立花家の屋敷で,当主の囲碁の相手を務めたことを契機に同家の正月の飾りを設営。のち自家に華麗な門松を設営してもらうことが年中行事となり,商勢を一層高めたという。本業以外にも一芸を磨くことで,人間に幅と品格が備わったのである。<参考文献>井上政共編『近江商人』
(末永國紀)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報