伴性リンパ増殖症候群

内科学 第10版 「伴性リンパ増殖症候群」の解説

伴性リンパ増殖症候群(原発性免疫不全症候群)

(11)伴性リンパ増殖症候群(X-linked lymphoproliferative syndrome)
概念・病因
 EBウイルスEBV)はほとんどのヒトが感染しており,B細胞内に潜伏感染しキラーT細胞により制御されている.本症ではこのEBV感染が重症化する.原因は,Sap/SH2D1A(1型),XIAP(2型)の遺伝子異常である.
臨床症状
 EBVの感染前は特に異常がなく,初回感染後に発症する.2〜3歳で初感染すると劇症型伝染性単核球症,4〜6歳で初感染すると悪性リンパ腫を発症し,6〜9歳では免疫グロブリン異常症を発症することが多い.
検査成績
 T細胞とB細胞の数と増殖反応は正常だが,抗体産生能は著減している.末梢血中のメモリーB細胞数は著減,ヘルパーT細胞の機能も障害されている.患児のT細胞・NK細胞は自己のEBV感染B細胞に対するIFN-γの産生が低下し,NKT細胞は完全に欠損している.
診断
 家族歴・臨床症状より疑い,免疫学的検査,遺伝子検査で確定する.
合併症・予後
 悪性リンパ腫を高頻度で合併する.免疫グロブリン異常症で発症したものは,ほかの病型と比較すると予後がよい.
治療
 EBVに対して高力化の免疫グロブリンの補充療法が有効なことがある.早期造血幹細胞移植が必要である.[峯岸克行]
■文献
Notarangelo LD, Fischer A, et al: Primary immunodeficiencies: 2009 update. J Allergy Clin Immunol, 124: 1161-1178, 2009.
Ochs HD, Smith CIE, et al: Primary Immunodeficiency Diseases, 2nd ed, Oxford University Press, New York, 2007.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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