コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

造血幹細胞移植 ぞうけつかんさいぼういしょくhematopoietic stem cells

4件 の用語解説(造血幹細胞移植の意味・用語解説を検索)

知恵蔵の解説

造血幹細胞移植

造血系の幹細胞は、多能性を持っており、赤血球血小板白血球など、造血系の全ての細胞に分化する。骨髄中にある造血幹細胞骨髄幹細胞といい、最も多く存在する。造血幹細胞は、末梢血や臍帯血などにも存在するので、造血幹細胞移植骨髄移植臍帯血幹細胞移植末梢血幹細胞移植の3つがある。骨髄移植は、健康な人の骨髄幹細胞を患者に移植して、血球系の細胞を蘇らせる治療法。白血病やがんなどでは、抗がん化学療法剤で悪性細胞を体内から徹底的に除去する時に、正常な血球系細胞も破壊される。骨髄移植により、正常な血液細胞を補うことができる。臍帯血中にも、造血幹細胞が存在する。出産時に得られるので臍帯血バンクに保存しておき、患者に臍帯血由来幹細胞を移植することで、様々な疾患の治療が可能になる。末梢血幹細胞移植は、主に自家移植として行われることが多い。これは、自己の末梢血幹細胞を薬剤などで大量に増やし、保存しておき、化学療法などを行った後、幹細胞を移植する方法。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
知恵蔵について | 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

造血幹細胞移植

正常な血液をつくれなくなった患者に造血幹細胞が含まれる臍帯血や骨髄を移植して正常な血をつくれるようにする。骨髄移植の場合は原則、HLAという白血球の遺伝子の六つの型がすべて一致しないと実施できないが、臍帯血では四つ以上一致すれば可能だ。移植が有効な病気は白血病や再生不良性貧血先天性免疫不全症先天性代謝異常疾患。*医療サイト・アピタルに、意見交換や交流ができる「読者ひろば」を開設しています。

(2010-08-26 朝日新聞 朝刊 生活2)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
朝日新聞掲載「キーワード」について | 情報

百科事典マイペディアの解説

造血幹細胞移植【ぞうけつかんさいぼういしょく】

白血病悪性リンパ腫などの病気,および抗癌(がん)剤(制癌薬)や放射線治療などの副作用によって,血液をつくる力がなくなった人に行う治療法の一つ。造血幹細胞とは血液をつくるもとになる細胞のことで,それ自身が増殖しながら数を保つとともに,一部は白血球赤血球血小板に姿を変えて,血液のバランスを保っている。
→関連項目骨髄バンク

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
百科事典マイペディアについて | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

造血幹細胞移植
ぞうけつかんさいぼういしょく
hematopoietic stem cell transplantation

造血機能が傷害される血液疾患などに、正常な造血能を復活させるため、血液細胞を産生する造血幹細胞を移植する治療法。血液の中には赤血球、白血球、血小板などの血液細胞が存在し、生命維持のために重要な働きをしている。これらの血液細胞を産生するのが造血幹細胞である。造血幹細胞は自らを複製するという自己複製能を有するとともに、自らが分化し血液細胞になるので、血液細胞を一生にわたり産生し続けられるのである。造血幹細胞は成人ではおもに骨髄に存在するが、胎児では肝臓、脾臓(ひぞう)、あるいは血液中にも存在する。
 一方、白血病や再生不良性貧血などの血液疾患は造血機能が傷害される重篤な疾患であり、薬物療法では治癒が見込めない場合がある。造血幹細胞移植はこれらの疾患の治療のために、造血幹細胞を移植し正常な造血能を復活させる治療法である。
 移植に用いる造血幹細胞は、現在、骨髄、末梢血(まっしょうけつ)幹細胞、臍帯血(さいたいけつ)が臨床に応用されており、それぞれ骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血幹細胞移植とよばれている。造血幹細胞の提供者(ドナー)が他者の場合を同種造血幹細胞移植、一卵性多胎児の同胞の場合を同系造血幹細胞移植、さらに自分の場合を自家造血幹細胞移植という。
 造血幹細胞移植を行う場合、移植前に白血病細胞などの腫瘍(しゅよう)細胞を死滅させるために、患者に大量の抗癌(がん)剤の投与や放射線照射を行う。これを前処置とよぶが、前処置は移植される造血幹細胞の拒絶を予防するための免疫抑制効果の意義もある。前処置により患者の造血や免疫機能は高度に抑制され、貧血、白血球減少、血小板減少が生じるため、感染症や出血などの種々の合併症を発症する可能性が高い。種々の病原体が感染症の原因になるので無菌室による管理、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤の投与、および、輸血療法なども必要になる。
 造血幹細胞移植は造血幹細胞を血管から輸注して行われる。輸注された造血幹細胞はやがて骨髄にたどり着き造血を開始すると考えられている。通常、移植後数週間で造血が回復する。同種造血幹細胞移植の場合、リンパ球などの免疫担当細胞も他人の細胞に変化するので、これらが逆に患者の組織を他人と認識し傷害を及ぼすことがある。これを移植片対宿主病graft versus host disease(GVHD)とよび、おもに皮膚、肝臓、消化管が傷害される。GVHDは同種造血幹細胞移植のもっとも注意すべき合併症であるが、GVHDがおこると白血病の再発が少ないことも判明している。これは、免疫反応によって白血病細胞が傷害されるからと考えられ、移植片対白血病反応graft versus leukemia reaction(GVLR)という。
 造血幹細胞移植の成功率は患者の疾患、進行度、年齢、および臓器障害の有無などに大きく影響され一概に述べられないが、白血病ではおおむね半数が治癒されるようになった。[比留間潔]
『原田実根・加藤俊一・薗田精昭編『新しい造血幹細胞移植――末梢血幹細胞移植(PBSCT)・臍帯血移植(CBSCT)・CD34陽性細胞移植・ドナーリンパ球輸注療法(DLT)』(1998・南江堂) ▽中内啓光編『造血幹細胞のいまと医療への展開』(2001・羊土社) ▽小澤敬也編著『造血幹細胞――基礎から遺伝子治療・再生医療へ』(2002・中外医学社) ▽小寺良尚・加藤俊一編『必携 造血細胞移植――わが国のエビデンスを中心に』(2004・医学書院) ▽河野文夫・岡野千代美編『造血幹細胞移植の看護』(2004・南江堂) ▽岡本真一郎他編『症例から学ぶ造血幹細胞移植』(2006・中外医薬社) ▽小澤敬也監修、室井一男・鈴木典子編『医師と看護師のための造血幹細胞移植』全面改訂版(2007・医薬ジャーナル社) ▽小寺良尚編『やさしい造血幹細胞移植へのアプローチ』改訂版(2008・医薬ジャーナル社) ▽神田善伸編『みんなに役立つ造血幹細胞移植の基礎と臨床』上下(2008・医薬ジャーナル社) ▽室井一男編『やさしい造血幹細胞移植後のQOLの向上』(2009・医薬ジャーナル社) ▽豊嶋崇徳編『ガイドラインパースペクティブ 造血幹細胞移植』(2009・医薬ジャーナル社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

今日のキーワード

百条委員会

地方自治体が議決により設置する特別委員会の一つ。名称は「地方自治法第100条」に基づく。百条委員会は、地方公共団体の事務に関する調査を行い、関係者への聞き取りや記録の提出を請求、拒否した者には罰則が科...

続きを読む

コトバンク for iPhone

造血幹細胞移植の関連情報