朝日日本歴史人物事典 「佐藤卯兵衛」の解説
佐藤卯兵衛
生年:寛政7.10.2(1795.11.13)
江戸後期,石巻港に面した陸奥牡鹿郡門脇村(宮城県石巻市門脇)の商人。諱は有鄰,字は士徳,北川と号した。父は茂左衛門,叔父佐藤屋卯兵衛の養子となる。天保1(1830)年と同2年の仙台藩の廻米記録に船主として登場,荒銅,大豆も扱う。天保飢饉時には私費をもって窮民や病者の救恤を行うが,藩はこの篤行を賞して天保4年に組抜格(郷士)に取り立て,天保8年に御舟手年寄に任ずる。また同年の鋳銭場(仙台通宝の鋳造所)の普請記録には鋳銭下役とある。「富めるものなれども,志いやしからざ」る人物。学問を好み,著書に『鳳渓吟行』がある。墓は石巻市後町西光寺にある。<参考文献>『旧・新石巻市史』,作並清亮編『東藩史稿』
(岩本由輝)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報