藤森成吉(せいきち)の戯曲。六幕九場。1927年(昭和2)『改造』連載、同年改造社刊。築地(つきじ)小劇場での初演(1927.4)は『彼女』の題名で、土方与志(ひじかたよし)演出、山本安英(やすえ)主演。新築地劇団の再演で原題をうたった。主人公中村すみ子(13~16歳)は、母は男と逐電、父はのたれ死に、叔父には食いものにされるという逆境に育つ。子供役者、養育院、小間使などを転々とし、心中を図るが助けられ、キリスト教婦人収容所に入れられる。神を信じ新しい生活を望むが、偽善、欺瞞(ぎまん)に堪えかね放火してしまう。作者の社会主義的な姿勢が鮮明で、この期のプロレタリア演劇を代表する戯曲の一つ。鈴木重吉(しげよし)監督により映画化(1930)もされ、「……が……を……させたか」という言い回しが流行した。
[祖父江昭二]
『『現代日本戯曲選集8』(1955・白水社)』
…映画界でも思想問題を主題にした〈傾向映画〉がつくられた。1930年2月には,プロレタリア作家藤森成吉の《何が彼女をさうさせたか》が,浅草で5週間続映の新記録をつくった。挫折と逃避,現状打破の交錯する地点に,この時代の文化状況は成立していたといえよう。…
…1928年末に結成された〈プロキノ(日本プロレタリア映画同盟)〉が活動を開始するのも,上記の作品群がつくられたのと同じ29年であった。 〈傾向映画〉の頂点は,翌30年の鈴木重吉監督《何が彼女をさうさせたか》の大ヒットで,東京の興行の中心街であった浅草では5週間続映という当時としては例外的な記録をつくった。これはプロレタリア作家藤森成吉の同名の戯曲の映画化で,孤児院で育ち,冷酷な社会にしいたげられた1人の少女が,最後には放火犯として逮捕されるという苦難の道を描き,真の犯罪者は〈彼女〉ではなく矛盾と虚偽に満ちた〈社会〉であると弾劾するものであった。…
※「何が彼女をさうさせたか」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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