日本歴史地名大系 「余市港」の解説 余市港よいちこう 北海道:後志支庁余市町余市港積丹(しやこたん)半島の東岸の基部、余市湾の西部に置かれた地方港湾。港(みなと)町一帯に関連施設が並ぶ。近世よりすぐ南東のモイレ、北のシリパなどは鯡漁で知られ、またモイレを河口とする余市川では鮭漁がみられ、ヨイチ場所の「大船の懸り澗」には大小の船が出入りした(板本「西蝦夷日誌」)。「観国録」に「湾内漁場人烟繁密ニテ大場所ノ運上屋元タル事一覧シテ人目ヲ驚カス」とみえる(安政三年四月二六日条)。一八六三年(文久三年)の鯡漁獲高は一万八千五七七石余という(余市漁業発達史)。近代にも引続き鰊漁は隆盛で、好漁場を背景に北海道の代表的な漁業基地となっていった。明治四年(一八七一)の余市郡諸調書(開拓記念館蔵)では鯡建網六〇統・鯡差網二五〇放・秋味鮭引網二統・同川引網二統、漁船三九九艘を数え、産物に鯡・鮭・鮃・鱈・干鮑・海鼠・昆布など。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by