日本大百科全書(ニッポニカ) 「作用心理学」の意味・わかりやすい解説
作用心理学
さようしんりがく
Aktpsychologie ドイツ語
ブレンターノが主張した心理学で、アリストテレスおよびスコラ哲学の影響がみられる。心理現象を内容と作用に分け、内容を研究するのが現象学で、作用を研究するのが心理学であるという。心的作用を表象(知覚)、判断(評価)、情緒(愛憎)の三つに分ける。たとえば、音楽を聞く場合、聞く働きは作用であり、聞かれる音はその内容である。作用は単独では存在せず、その作用の向けられるべき内容(対象)を含んでいる。したがって、意識には志向性があり、対象は志向的に内在すると考える。彼の現象学は弟子のフッサールによってさらに深く追究され、彼の心理学は弟子のシュトゥンプの機能心理学Funktionspsychologieに受け継がれた。
[宇津木保]