シュトゥンプ(読み)しゅとぅんぷ(英語表記)Carl Stumpf

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュトゥンプ」の意味・わかりやすい解説

シュトゥンプ
しゅとぅんぷ
Carl Stumpf
(1848―1936)

ドイツ心理学者。ウュルツブルク近くに生まれ、幼時から音楽を愛した。ウュルツブルク大学を卒業。ドイツの哲学者で心理学者のブレンターノや同じく哲学者のロッツェの影響を受け、W・ブントのような心的内容を研究する心理学に反対して、感覚する・表象する・判断するなどの心的作用を研究する機能心理学を主張した。感覚や表象などの意識現象現象学の研究対象であり、それを土台にして物理学や心理学が成立するという考え方である。彼自身の研究は音響心理学、音楽文化人類学に関するものが多いが、なかには心的現象に関するものもある。1894年から1921年までベルリン大学におり、心理学研究室をつくるとともに、ウェルトハイマーコフカ、W・ケーラー、K・レビンらのゲシュタルト心理学者を育てた。

[宇津木保]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「シュトゥンプ」の意味・わかりやすい解説

シュトゥンプ
Carl Stumpf
生没年:1848-1936

ドイツの心理学者,哲学者。1873年心理学に関するその最初の論文《空間表象の心理学的起源》によってビュルツブルク大学教授となり,94年以降ベルリン大学教授。F.ブレンターノの作用心理学の影響をつよく受け,ドイツの機能心理学Funktionspsychologieの創始者とされる。彼は知覚という機能と知覚される内容とを区別し,心理学は精神の機能に関する研究を本分とすべきであり,内容に関する研究は現象学に属するとした。したがって精神の内容に力点をおくブントとは立場を異にした。心理学への重要な貢献に音楽心理学の先駆的な研究があり,主著《音響心理学》2巻(1883,90)は有名。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュトゥンプ」の意味・わかりやすい解説

シュトゥンプ
Stumpf, Carl

[生]1848.4.21. ウィーゼンタイト
[没]1936.12.25. ベルリン
ドイツの心理学者,哲学者,音楽学者,音声学者。ウュルツブルク,プラハ,ハレ,ミュンヘン,ベルリン各大学教授。 F.ブレンターノ,R.H.ロッツェの影響を受け,実験現象学的立場を取り,ゲシュタルト心理学の展開に影響を与えた。また,民族音楽の研究に努め,比較音楽学の創始者の一人として知られるが,さらに音響の研究にも大きな業績を上げた。特に晩年には言語音の分析に従事し,実験音声学の進歩に貢献した。『音響心理学』 Tonpsychologie (2巻,1883~90) ,『音楽の起源』 Die Anfänge der Musik (1911) ,『言語音』 Die Sprachlaute (26) などの著書がある。

シュトゥンプ
Stumpf, Johannes

[生]1500.4.23. ブルフザール
[没]1578頃.チューリヒ
スイスの年代記作者,神学者。ツウィングリの友人としてスイスの宗教改革運動で重要な役割を果した。 18世紀まで標準的なものとされた『スイス年代記』 Gemeiner loblicher Eydgnoschafft Stetten,Landen und Völckeren chronikwirdiger Thaaten Beschreybung (1547~48) で知られる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「シュトゥンプ」の意味・わかりやすい解説

シュトゥンプ

ドイツの心理学者,哲学者。ビュルツブルク,プラハ,ミュンヘン,ベルリンなどの大学教授を歴任。F.ブレンターノらの影響を受け,知覚という機能と知覚される内容を区別し,前者を心理学の,後者を現象学の対象とした。機能現象学の先駆と目される。知覚や感覚に関する著述が多く,特に《音響心理学》全2巻は有名。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

367日誕生日大事典 「シュトゥンプ」の解説

シュトゥンプ

生年月日:1500年4月23日
スイスの歴史家
1578年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシュトゥンプの言及

【ヘテロフォニー】より

… ヘテロフォニーという術語の起源は古代ギリシアにさかのぼり,プラトンが《法律》の第7巻で用いている。ただしプラトンが具体的にどのような音現象を指したのかは定かでないが,字義通り〈異音性〉と解し,2声部ないしそれ以上の多声部による(偶発的)同時変奏の意にこれを用いたのはドイツの学者シュトゥンプである。 ヨーロッパでも中世の教会音楽や世俗音楽にヘテロフォニーの要素が認められ(図1),また近代音楽の中でも主旋律とそのメリスマ的変奏が同時に奏されてヘテロフォニーを形成する例も散見する(図2)。…

※「シュトゥンプ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android