日本大百科全書(ニッポニカ) 「依蘭」の意味・わかりやすい解説
依蘭
いらん / イーラン
中国、黒竜江(こくりゅうこう)省南東部にあるハルビン市の県。松花江(しょうかこう)に南から入る牡丹江(ぼたんこう)と東から入る倭肯河(わこうが)の間の平野に位置する。常住人口38万8319(2010)。少なくとも金(きん)代からの古い町で、1913年以来県となった。古くはイラン・ハラ(依蘭哈拉)と称したが、依蘭は満州語で三、哈拉は姓の意で、三姓ともよぶ。『吉林(きつりん)外記』によれば、ここにナーナイ(中華人民共和国での公称は赫哲(ホジェン)族)の3支族が居住していたので、この名がつけられたという。
大豆、小麦、米、コウリャン、葉タバコや毛皮、生薬、魚、川真珠、砂金、石炭などを産する。石炭は埋蔵量2.3億トン(2014)の炭田(現、依蘭炭田)が1938年に発見され、年産9万トン(1999)、別に油母頁岩(ゆぼけつがん)も多く埋蔵する。松花江の水運と両岸の自動車道、および勃利(ぼつり)に向かう自動車交通が盛ん。
[浅井辰郎・編集部 2017年7月19日]