日本大百科全書(ニッポニカ)「松花江」の解説
松花江
しょうかこう / ソンホワチヤン
中国、東北(とうほく/トンペイ)地区の中心部を流れる大河。黒竜江(こくりゅうこう/ヘイロンチヤン)最大の支流。満州語でスンガリー・ウラ(天の河)という。全長1927キロメートル、流域面積約54万5000平方キロメートル、平均流量約2530立方メートル/秒。河川交通により、吉林(きつりん/チーリン)、ハルビン、チャムスなど沿岸の都市を結ぶ。源を北朝鮮との国境にある白頭山の天池(てんち/ティエンチー)に発し、二道江として北西流したのち、第二松花江と名を変え、南西からの輝発(きはつ)河をあわせて長さ120キロメートルの松花湖に入る。松花湖の下流端が豊満ダムである。吉林市を経て、飲馬(いんば)河、伊通(いつう)河の2河川をあわせ、扶余(ふよ/フーユイ)県で北からの嫩江(どんこう/ネンチヤン)と合流し松花江となる。その後、東流して南からの拉林(ろうりん)河を、さらにハルビンの東で北からの呼蘭(こらん)河をあわせたのち、南から流れる牡丹江(ぼたんこう/ムータンチヤン)を合流、チャムスを通って同江(どうこう/トンチヤン)で黒竜江に入る。流量の年変化は大きく、4~5月の解氷期と、7~8月の雨期に大で、6月下旬と、9~10月に小さい。航行は松花湖上と吉林市より下流で盛んであるが、後者では浅瀬も多いので減水期には注意を要する。航行距離は1890キロメートルである。11月なかばに結氷するが、解氷期も流氷の危険があるため、航行期間は200日とみるべきである。近年、築堤により洪水回避面積は1600平方キロメートルに達する一方、灌漑(かんがい)面積は1万ヘクタール以上に及ぶという。コイ、フナ、チョウザメ、サケ、ハクギョなどを多く産する。
[浅井辰郎]