便ノ山村(読み)びんのやまむら

日本歴史地名大系 「便ノ山村」の解説

便ノ山村
びんのやまむら

[現在地名]海山町便ノ山

小山おやま浦の西方銚子ちようし川左岸にあり、対岸に小名鷲下わしげがある。熊野街道尾鷲おわしより馬越まごせ峠を越え、鷲下に入り銚子川右岸沿いに下り、もと村の対岸から渡河したが、鷲下より渡河して銚子川左岸を古ノ本に至る脇街道もあった。「紀伊国古昔国界考」には、「古本・便ノ山・小山・引本・小浦ノ五ケ村モト一荘ニテ、皆古クハ古本村ノ二天八王子ヲ氏神トセリトイヘル伝説的当」とある。

慶長六年(一六〇一)検地帳(徳川林政史蔵)に「便山村」と記される。相賀組に属し、寛政五年(一七九三)の大差出帳(同蔵)に、「便山村より弐拾弐町西の方山奥木津と申枝郷御座候。是は万治二亥年より民家出来仕候。山稼仕候。諸色共便山村の内に御座候」と記され、小名木津こつについて「紀伊続風土記」に「古通こつ幾豆きづにて材木を集め筏なとにする地といふ」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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