文献によると、中国大陸から錦(にしき)の技法が導入されるまで、広く使われたわが国の在来織物。『万葉集』『日本書紀』などによると、帯、手環(たまき)いわゆる現在のブレスレット、鞍覆(くらおおい)など、装飾的な部分に使われている。生産は物部(もののべ)氏のもとにある倭文部(しずりべ)であり、各地の倭文神社はその分布を伝える。正倉院に宝蔵の雑彩の帯がそれにあたるとするが、確定的ではない。『延喜主計式(えんぎしゅけいしき)』によると、その生産地は駿河(するが)国と常陸(ひたち)国で、合計してわずか62端(長さ4丈2尺、幅2尺4寸、天平(てんぴょう)尺による)しか献納されておらず、用途は自然神(風・火など)の奉献物に使われている。
[角山幸洋]
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