日本大百科全書(ニッポニカ) 「倭舞」の意味・わかりやすい解説
倭舞
やまとまい
古代の国風歌舞の一つ。和舞、大和舞とも記され、大和地方の風俗舞踊がその源であるといわれる。『続日本紀(しょくにほんぎ)』宝亀(ほうき)元年(770)3月の記事を初見とするが、『貞観儀式(じょうがんぎしき)』によるとすでに平安時代初期には大嘗祭(だいじょうさい)をはじめ宮中の大儀に用いられていた。その後応仁(おうにん)の乱(1467~77)を境に伝承がとだえたが、280年後の1748年(寛延1)の大嘗会(え)に再興された。現行宮中雅楽の倭舞はさらにその後の改訂を経たもので、大嘗会ほか11月の鎮魂祭に演じられる。舞人は4人で、2人は赤袍(ほう)、2人は緑袍を着用し、垂纓(すいえい)の冠を頂く。歌方(うたかた)は篳篥(ひちりき)、竜笛(りゅうてき)、拍子(ひょうし)各一に付歌(つけうた)若干名。なお奈良の春日(かすが)大社ほかの祭礼にも民俗芸能として倭舞が奏せられている。
[高山 茂]